「世の中の役に立たないと意味がない」。かつて若者向けのラジオ番組でパーソナリティーを務めたドリアン助川さんは、悩み相談の中高生たちがそう語るのにずっと違和感を覚えていたという
▼それに対する答えが、小説「あん」だった。映画化された作品を見た人も多いだろう。今月、赤磐市での講演会で助川さんは「私たちはなぜ生まれてきたのか?」と題して話した
▼作品は小さなどら焼き店が舞台。刑務所帰りの雇われ店長と、求人募集で来たハンセン病回復者の女性との交流を通して、私たちの中に潜む偏見・差別や過酷な運命に屈しない生きざまが描かれる
▼印象的なのは療養所に隔離されて働くことも子どもを産むこともかなわなかった女性が、生きる意味を自問する場面だ。
美しい満月を見て女性は思う。この月は私が見ているから存在するのではないか。森の木々のざわめきも鳥のさえずりも…。この世を見るために私は生まれてきたと
▼「世の中の役に立つ」という言葉は時に暴力的だと助川さんは言う。事実、昨年起きた相模原市の障害者施設殺傷事件で「障害者は不幸をばらまく存在」という被告の主張を支持する声がインターネットで少なからずあった
▼生まれただけで意味がある。人はだれも等しくこの世を背負って生きている、と語る助川さんの言葉が胸に残った。
(2017年12月27日 08時00分 更新)
http://www.sanyonews.jp/article/647102/1/?rct=tekiitteki
▼それに対する答えが、小説「あん」だった。映画化された作品を見た人も多いだろう。今月、赤磐市での講演会で助川さんは「私たちはなぜ生まれてきたのか?」と題して話した
▼作品は小さなどら焼き店が舞台。刑務所帰りの雇われ店長と、求人募集で来たハンセン病回復者の女性との交流を通して、私たちの中に潜む偏見・差別や過酷な運命に屈しない生きざまが描かれる
▼印象的なのは療養所に隔離されて働くことも子どもを産むこともかなわなかった女性が、生きる意味を自問する場面だ。
美しい満月を見て女性は思う。この月は私が見ているから存在するのではないか。森の木々のざわめきも鳥のさえずりも…。この世を見るために私は生まれてきたと
▼「世の中の役に立つ」という言葉は時に暴力的だと助川さんは言う。事実、昨年起きた相模原市の障害者施設殺傷事件で「障害者は不幸をばらまく存在」という被告の主張を支持する声がインターネットで少なからずあった
▼生まれただけで意味がある。人はだれも等しくこの世を背負って生きている、と語る助川さんの言葉が胸に残った。
(2017年12月27日 08時00分 更新)
http://www.sanyonews.jp/article/647102/1/?rct=tekiitteki